2013年(平成25年)の作品 (104回~93回)

一月 93回
蒸しパンの如くぽつくら土竜追ひ

2012年(平成24年)の作品 (92回~81回)

十二月 92回
曇天や土寄せ上げる葱畑
十一月 91回
ひぬま川涸沼へ流れ秋深む
十月 90回
長き夜思い出せない忘れ物
九月 89回
日除けによし食べてなほよしゴーヤかな
八月 88回
思ふほど伸びぬゴーヤの日差し除け
七月 87回
緑よりなお濃きみどり青蛙
六月 86回
友の顔浮かぶ句会や遠蛙
五月 85回
濃淡の山の木の芽の香りかな
四月 84回
お下がりの服だぶだぶで種をまく
三月 83回
焼きプリン添えて昼食春の風
二月 82回
梅咲くとしあはせの便り届きけり
一月 81回
大寒の朝茶を熱く濃く淹れし

2011年(平成23年)の作品 (80回~69回)

十二月 80回
踏み入れば虫飛びはねる花野かな
十一月 79回
車椅子の高さに菊の咲き揃ふ
十月 78回
野仏に似たる石あり曼珠沙華
九月 77回
初茸の生えていそうな林かな
八月 76回
土手かぼちゃ父親に似しごつい顎
七月 75回
炎天や麦茶の味を少し濃く
六月 74回
原発の危機去りやらづ茄子植うる
五月 73回
新緑をゆらして峡のもみぢ橋
四月 72回
夕かじか女湯のれんの薄き文字
三月 71回
鳥帰る常の二人の夕餉かな
二月 70回
背負ふ苦も賜りものぞ春うらら
一月 69回
大手締め妻と購ふ福だるま

2010年(平成22年)の作品 (68回~57回)

十二月 68回
熟れ柿は母のこうぶつ遠筑波
十一月 67回
ディ・ケアを支える妻やつはの花
十月 66回
夕日背に妻と腕くむ吾亦紅
九月 65回
納豆を好んだ父の魂祭り
八月 64回
妻在らば満たさるものを合歓の花
七月 63回
柿青きままに落ちたり日暮れかな
六月 62回
青嵐湖上にはらむ帆引き舟
五月 61回
松落葉しほの香つよき日暮れかな
四月 60回
輝ける海を眼下に初つばめ
三月 59回
三寒の四温うれしき孫来る日
二月 58回
片麻痺に慣れて七十路里の梅
一月 57回
餅つきや丸め上手の幼な孫

2009年(平成21年)の作品 (56回~45回)

十二月 56回
濃紺の新車の届く秋茜
十一月 55回
一人居の昼間は長し木守柿
十月 54回
秋風の立ちて飯坂さはこの湯
九月 53回
説明を聞いて曲がりの胡瓜買ふ
八月 52回
鬼の顔したる毛虫やみな元気
七月 51回
山門をくぐりて続く濃あじさゐ
六月 50回
足止めて川を見下ろす鮎の宿
五月 49回
初つばめ旅へ誘ふメール来る
四月 48回
風向きの変わりし小道野水仙
三月 47回
冬鴎波のうねりを逆らはず
二月 46回
小名浜の見えて初春鵜の岬
一月 45回
しぐるるや沖波立ちて鵜の岬

2008年(平成20年)の作品 (44回~33回)

十二月 44回
スタンドを二つ灯して夜長かな
十一月 43回
朝霧や遡上の鮭の見えかくれ
十月 42回
鳴く虫の声湧くごとく降るごとく
九月 41回
久々に妻に誘はれ鰯雲
八月 40回
玉簾の滝のしぶきや西行碑
七月 39回
新緑の映える奥入瀬フルムーン
六月 38回
絵手紙のなかの一色柿若葉
五月 37回
せせらぎを分ける大岩苔の花
四月 36回
分身となりたる杖と花見かな
三月 35回
大風の止みて今夜の蜆汁
二月 34回
大浪の上に波乗る寒の入り
一月 33回
かじかめる手に杖を添へ年迎ふ