2020年(令和2年)の作品 (188回~177回)

九月 185回
少年はロケットが好き夏夜空
七月 183回
腰おろす大きな石や白紫陽花
六月 182回
道灌の山吹の里思ひけり
五月 181回
山藤の水湧く如く咲きにけり
四月 180回
せせらぎや桜さくらの花の下
三月 179回
目借時歳時記の文字薄れゆく
二月 178回
屋根瓦光りて眩し鬼やらひ
一月 177回
年の暮お薬を待つ長い列

2019年(平成31年、令和元年)の作品 (176回~165回)

十二月 176回
からころと波のごとくに落葉とぶ
十一月 175回
呼びあへるごと紅白のかヘり花
十月 174回
耳鳴りや月夜の窓辺独り占め
九月 173回
唖し蝉のぶつかつて来る駐車場
八月 172回
赤とんぼ夫の帽子が好きらしい
七月 171回
盛り上がる草を平らに梅雨出水
六月 170回
夏草の胸をくすぐる高さかな
五月 169回
靴届く歩け歩けと八十の春
四月 168回
雨催ひ蕾の桜濃かりけり
三月 167回
風光る波のきらめく鵜の岬
二月 166回
枇杷の花小さき手術と言はれても
一月 165回
エプロンにコートを羽織り年の暮れ

2018年(平成30年)の作品 (164回~153回)

十二月 164回
夕紅葉園児等の声にぎやかに
十一月 163回
紅葉且散る階段は黄となれり
十月 162回
少年はロケットが好き水の秋
九月 161回
少年の願ひ大きく青薄
八月 160回
子を思ひつつ夜濯ぎの終はりけり
七月 159回
屋上の外湯にひとり居待月
六月 158回
流木の龍のごと浜夏めけり
五月 157回
白躑躅あつという間に錆の色
四月 156回
夜桜や右脳左脳もさくら色
三月 155回
梅東風や指の太さの句碑の文字
二月 154回
しつかりと見よ凍滝は父の貌
一月 153回
笹鳴きや海青々と広がれり

2017年(平成29年)の作品 (152回~141回)

十二月 152回
築山の紅葉且つ散り水の音
十一月 151回
雨上がり島の坂道枇杷の花
十月 150回
雨脚の太き直線秋の海
九月 149回
青屋根を青く映して水澄めり
八月 148回
ボール追ふ目は青年の夏野かな
七月 147回
遠筑波窓いつぱいの青田風
六月 146回
黙祷に始まる句会緑差す
五月 145回
牡丹のしつとり重し生きてをり
四月 144回
ふはふはの土を押し上ぐつくしんぼ
三月 143回
新しき眼鏡春日の眩しかり
二月 142回
冬の瀧父に会いたくなりにけり
一月 141回
ちゃんちゃんこ上手な句より個性の句

2016年(平成28年)の作品 (140回~129回)

十二月 140回
山間の闇深々と冬銀河
十一月 139回
知らぬ児のにこつと笑ふ大花野
十月 138回
倒木の中はからつぽ水澄めり
九月 137回
赤とんぼ日暮れの早き山の町
八月 136回
ふるさとの父母の声あり早稲の風
七月 135回
一茎に十五も咲きし百合の花
六月 134回
不来方の石垣の反り草青む
五月 133回
若葉風歩幅大きく歩きけり
四月 132回
花の雨行列なしてお茶の席
三月 131回
春の海サーファーは波の頂点へ
二月 130回
八方に音響かせて冬の瀧
一月 129回
御手洗の太き青竹初詣

2015年(平成27年)の作品 (128回~117回)

十二月 128回
白葱のかがやく長さ刻みけり
十一月 127回
紅葉山絶壁の底水の音
十月 126回
木の実落つ臍の如くに要石
九月 125回
新獣舎角を誇りの日本鹿
八月 124回
敗戦日夕日に川の真つ赤なり
七月 123回
木道てふ涼しき橋を渡りけり
六月 122回
口述の絶句となるや桐の花
五月 121回
大極殿雲の中より揚雲雀
四月 120回
花の下懐紙に受けて蝶の菓子
三月 119回
峠より海のかがやき四温晴
二月 118回
父に会ふごと凍瀧の無口なり
一月 117回
俳句なら歩いて作れ佛の座

2014年(平成26年)の作品 (116回~105回)

十二月 116回
断崖の下は海なり冬木の芽
十一月 115回
遠山は涅槃の如き紅葉山
十月 114回
真直ぐに落ちるほかなし紅葉瀧
九月 113回
走り根の龍の如くに杉の秋
八月 112回
川風に汗の歩幅を通しけり
七月 111回
梅雨晴や夢二の猫のすり寄り来
六月 110回
山と海街を覆ひて夏の霧
五月 109回
若葉光どつしりとある薬医門
四月 108回
桜咲く茅葺屋根の長屋門
三月 107回
堅香子の蕾の硬し急斜面
二月 106回
音のなき春雪かかる干支の絵馬
一月 105回
煙突の煙真直ぐ冬晴るる

2013年(平成25年)の作品 (104回~93回)

十二月 104回
横穴墓ベンガラ色に木枯らしす
十一月 103回
水口に鯉の集まりもみぢ谷
十月 102回
水指の白磁の牡丹秋澄めり
九月 101回
秋高し希望膨らむパリへ発つ
八月 100回
かなかなや連れ立つ二人芭蕉曾良
七月 99回
太平洋へ明け放ちけり夏座敷
六月 98回
梁太き古民家であり蛇苺
五月 97回
完円の蒲公英の絮風を待つ
四月 96回
寂光土春の日差しの岩うちは
三月 95回
鎌倉古道水仙の真つ盛り
二月 94回
日の差して萌え出づるもの力得し
一月 93回
書初めの一の一文字力満つ

2012年(平成24年)の作品 (92回~81回)

十二月 92回
前山の紅葉我が家に及びけり
十一月 91回
本殿を一回りして神の留守
十月 90回
水車小屋の拍子のリズム青蜜柑
九月 89回
大花野明日と言ふ日明るい日
八月 88回
顔洗ふじゃぶじゃぶじゃぶと敗戦日
七月 87回
梅雨激し軒突く雨の棒のごと
六月 86回
刀法の演技涼しく鎮まれり
五月 85回
山吹の川面に映る明りかな
四月 84回
長堤の菜の花続く向かひ風
三月 83回
塔尖り氷り流るるエルベ河
二月 82回
凍て瀧へ歩めば父に逢ふ如し
一月 81回
余生とは言へど夢あり鏡餅

2011年(平成23年)の作品 (80回~69回)

十二月 80回
二の宮の幟ひらひら榠樝の実
十一月 79回
山茶花の波より白く散りにけり
十月 78回
星月夜一向一揆の加賀太鼓
九月 77回
水澄めり屋根に石置く御本陣
八月 76回
自問他答は命のあかし蛍の木
七月 75回
曝井の虫麻呂の歌碑竹落葉
六月 74回
大波のぽっとサーファー吐き出せり
五月 73回
柿若葉ブルーシートの屋根続く
四月 72回
桜咲く愛・感謝てふ墓碑のあり
三月 71回
余寒なほ墓も実家も大津波
二月 70回
石一つ投げて二月の水の音
一月 69回
座を正す袴きりりと初稽古

2010年(平成22年)の作品 (68回~57回)

十二月 68回
晴天や湖あをあをと冬桜
十一月 67回
引き潮の干潟にあをさ神の留守
十月 66回
肩の力抜きし柳に秋の雨
九月 65回
人間に病残暑のべたべたす
八月 64回
ダリの絵の時計の歪み残暑なり
七月 63回
緑射す一刀彫りの親子鷹
六月 62回
更衣さらさらさらと梅茶漬
五月 61回
青葉して平家の里のかづら橋
四月 60回
万太郎の文字柔らかし風光る
三月 59回
御和讃は四句一章梅真白
二月 58回
脚絡め抱っこする子のあたたかし
一月 57回
磨き上げ松と千両東司にも

2009年(平成21年)の作品 (56回~45回)

十二月 56回
延暦寺夜明けの冷えに身の締まる
十一月 55回
末枯るる川沿ひの道朝日差す
十月 54回
どんどはれで終はる語部星月夜
九月 53回
秋の雨土曜ワインをゆったりと
八月 52回
指の傷舐めてよしよし鬼やんま
七月 51回
良く動く少年の目と蜻蛉の目
六月 50回
白薔薇の垣根をあふれ匂ふなり
五月 49回
母の日や花七十の胡蝶蘭
四月 48回
花の夜針より太き糸通す
三月 47回
船溜高く尾を上げ恋の猫
二月 46回
梅林やぽこぽこ乾く土竜穴
一月 45回
舞初めや古稀を迎へて背を正す

2008年(平成20年)の作品 (44回~33回)

十二月 44回
冬の雨明日香の宿の古代食
十一月 43回
身に入むや二人で抓む骨一つ
十月 42回
新松子バランスを良く一輪車
九月 41回
気がかりなことあり秋の雨の音
八月 40回
裏山は大きなるつぼ蝉時雨
七月 39回
蟾蜍光源氏を思ひけり
六月 38回
海霧湧いて広がる不安地震のあと
五月 37回
葉桜やずっしり重き錦蛇
四月 36回
咲き満ちて靖国通りのさくらかな
三月 35回
とろとろと目覚めるこの世囀れり
二月 34回
風はまだ尖りてゐたり梅林
一月 33回
健やかな顔の揃ひて初句会

2007年(平成19年)の作品 (32回~21回)

十二月 32回
朴落ち葉雨の重さの音したり
十一月 31回
沖を向く家持像や雁渡し
十月 30回
源泉の湯の盛り上がり朝の鵙
九月 29回
子規庵の畳に届く秋日差し
八月 28回
隙間無き暑さ軍港灼けてをり
七月 27回
穂高より湧水走り花山葵
六月 26回
開け放つ足利学校風薫る
五月 25回
大正のままの見世蔵薄暑光
四月 24回
押し合ひて広がりゆけり花筏
三月 23回
鷹鳩と化して広場の子と遊ぶ
二月 22回
野遊びの子等の中心動きけり
一月 21回
一月の海岸を飛ぶ紙袋

2006年(平成18年)の作品 (20回~9回)

十二月 20回
泡吹いて蟹の売らるる年の市
十一月 19回
黒光りして弁慶の笈冷ゆる
十月 18回
初紅葉丸屋藁屋根ふくらめり
九月 17回
秋気満つ古民家藁屋開け放つ
八月 16回
葉から葉へぺたぺた移り雨蛙
七月 15回
上流は濁りて速し夏の川
六月 14回
梅雨晴れの歩幅大きく歩きけり
五月 13回
山藤の瀧の如くになだれ咲き
四月 12回
さわさわと花片栗の揺れやすき
三月 11回
道標は丸太割にて花馬酔木
二月 10回
蒼天へ胸張り出して瀧凍り
一月 9回
葉牡丹の中心の濃く力満つ

2005年(平成17年)の作品 (8回~1回)

六月 2回
夕暮れや瀬田の唐橋青時雨
五月 1回
新しき顔ぶれ若葉喝采す